そのあと、母と2人で串揚げを食べに行った。ところで、母と普通に話すことができるようになったのは最近のことだと思う。特に私が家を出てからだろうか?
暗い過去話になってしまうが、私の母はいわゆる「モラ母」というものであった。自分の望む人生を子供たちに押し付け、子供たちが自分の意に即した行動や結果を出した場合に、泣き叫び、暴言を浴びせ、激しく罵倒した。私も妹もそんな母のことが怖くてたまらなくなり、まったく逆らうことができずにずっと泣き続けてきた。
「嫌なことがあっても家に帰れば忘れられる。親だけは常に自分の見方をしてくれる」というのが正しい家庭であると思うのだが、我が家の場合は外で嫌なことがあっても、家の中ではさらに嫌なことがあるという状況だった。妹が言った言葉に
「外は地獄。家の中はさらに地獄」
というものがあったが、まさに至言だと思う。
まぁ、そんな話はどうでもいい。そんな母と話せるようになってきたというのが重要なのだ。最近の母は年を取ってきたせいなのかはわからないが、私に無性に謝るようになった。
「振り返ると随分ひどいことをやってきたなぁ~と今更ながら思う」
「よくずっと耐えてくれたよね」
「子育てに関しては本当に後悔ばかりだ」
「ごめんね。ごめんね。」
など。
私は謝られるたびに、なぜか泣きそうになる。母を憎む気持ちはあるが、同時に母を愛しているとも思うのだ。人間は複雑だ。
30歳にして、まだ母のことが怖くてたまらない。ただ、時が過ぎて、いつかは本当に気兼ねなく母と笑いあう日が来てくれたらと思う。